秋冬山水図

所蔵元 東京国立博物館
正式許可(画像)

雪舟等楊(1420 -1502又は1506)

小僧時代、修行もせずに絵ばかり描いているので、師僧に柱に縛り付けられた雪舟。とめどなくあふれる涙。雪舟はその涙を足指で引き、ねずみを床に描いた話は有名です。
雪舟は京都五山の名刹・相国寺で禅と絵画に励みました。40歳後半、水墨画を求めて遠く中国にわたり、その雄大な大自然と水墨画に感銘を受けた雪舟は、帰国の後独自の画風を作り上げます。しかしながら室町幕府の画壇には属さず、日本全国を漂白して仏画や花鳥画を描きました。時代を超えて21世紀の現在もなお画聖として不動の評価を得る雪舟です。

本作は墨色の変化のみで自然の大気を見事に捉えた日本美術の名品中の名品で、「侘び・寂び」の原点ともいえる作品です。
「秋之図」「冬之図」二作があいまって誠に荘厳な世界を展開しております。

本作の軸装は五十年に及ぶ実績を持つ日本人表具師による手表装で、吟味厳選された正絹の生地と本黒檀の軸先を用いて丹念に仕上げました。
今に伝わる雪舟の作品は20余点と少なく、そのほとんどが国宝や重要文化財の指定を受けております。