「清 心」について
奈良大和路の名刹薬師寺の境内は春夏秋冬の季節を問わず、いつでもたいへん清らかで澄んだ空気に包まれており、たとえようもないほど心が癒されます。
これは仏様の慈愛の御心と帰依されるご参拝の人々の心とが相まって、自然に生まれいずるものなのでしょう。
今回は暎胤猊下にこの清らかな心を皆様に末永く持ち続けていただくようにとの祈りをこめて「清心」のご揮毫を頂戴いたしました。
「清心」とは汚れがなく静かで落ち着いていながら、生命の強いエネルギーが満ち満ちている心の状態をいい、心が清ければ健康で長生きができると、お釈迦様も説いておられます。
本作の軸装は50年に及ぶ実績をもつ熟練の日本人表具師による手表装で、吟味厳選された正絹の生地と銘木の軸先を用いて丹念に仕上げました。
「桔 梗」について
秋の七草にも数えられる「桔梗」は、私たち日本人にはたいへん親しみ深い草花で、古くは万葉集にも歌われております。
「桔梗」の花言葉は「清楚、気品」で、この花を飾ると「吉」が「更」に増えて幸福になるという、たいへん縁起の良い花でございます。
小倉遊亀画伯の楚々としたこの「桔梗」は、ご染筆の「清心」と調和したまことによい御作でございます。