騎龍辯天

天才画家・橋本雅邦(1835-1908)は東京美術学校(現・東京藝術大学)の創設に加わり、横山大観、下村観山、川合玉堂、菱田春草らのちの巨匠を育成、指導しました。雅邦の作品はどれもたいへんスケールが大きく、奥行のある遠近感が効いた作風は近代のみならず現代の日本画にも大きな影響を残しました。「騎龍辯天図」は雅邦51歳の時の作品です。

複製美術品史上に残る「振金」の妙技

本作の特徴である「金」を再現するために、原画と同様の日本画技法である「振金」を駆使いたしました。この技法は最終の段階で金がのる部分にニカワを付けてすぐに金粉を振りかけ、そのあと余分な金粉を一枚一枚手作業で除いていくという大変な手間と神経を使う技法です。
これまでこの技法が美術品の複製製作で使われたことは無く、ボストン美術館の正式許可と監修を受けたまさしく歴史に残る逸品となりました。

本作の軸装は50年に及ぶ実績をもつ熟練の日本人表具師による手表装で、吟味厳選された正絹の生地と銘木の軸先を用いて丹念に仕上げました。