宝玉の浅井コレクションに見る「浮世絵・鎌倉殿」展— 歌川国芳・月岡芳年・歌川芳虎・水野年方など —

宝玉の浅井コレクションに見る「浮世絵・鎌倉殿」展— 歌川国芳・月岡芳年・歌川芳虎・水野年方など —

宝玉の浅井コレクションに見る「浮世絵・鎌倉殿」展— 歌川国芳・月岡芳年・歌川芳虎・水野年方など —

宝玉の浅井コレクションに見る「浮世絵・鎌倉殿」展— 歌川国芳・月岡芳年・歌川芳虎・水野年方など —

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府を意味し、延いては鎌倉幕府を開いた源 頼朝のことをも意味します。

2022年度のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」はまさしくこの時代の変遷を扱うもので、北条義時を主人公に平安時代末期の源 頼朝が源平合戦に大勝し、鎌倉幕府を開いて武士が中央に躍り出て政権を握り、さらに北条義時が鎌倉幕府の執権を引き継ぐまでを描く一大ドラマです。

本展では浮世絵の一大コレクションである「浅井コレクション」の名品の中から「鎌倉殿」を描いた歌川国芳と、国芳を師と仰ぐ月岡芳年、水野年方など歌川派絵師たちの作品を中心に展観いたします。

幕末から明治期に大活躍した歌川国芳、月岡芳年らはそれ以前の絵師たちとは別格の迫力ある描写で観る人をとらえて離しません。
それまでの歴史を伝えるための表面的、二次元的な表現から立体的な表現へと改革していくその業績と影響は現代日本の文化として世界的に評価の高いマンガやアニメーションにも及んでいます。

彼らの遺した現代へと至る影響を現代に生きる私たちの観点から、貴族文化から武士文化へという日本の歴史の一大転換期を歌川国芳、月岡芳年らの浮世絵を通して捉えなおし、その表現方法と歴史観を展観いたします。
本展では浅井コレクション初公開の作品が多数あり、たいへん有意義な展覧会を構成いたします。

展示内容としましては源 頼朝と頼朝を取り巻く「源 義経」、「源 範頼」の兄弟と彼らの祖先、そして宿敵「平 清盛」と源平最終合戦に至るその系氏。さらには「梶原景時」、「畠山重忠」ら頼朝を支えた忠臣たち、そして頼朝から幕府のあとを継ぐ「北条氏」の英姿も展示いたします。

また、時を越えて日本人の心の琴線に触れる悲劇のヒーロー・ヒロイン「常盤御前」、「源 義経と静御前」、「源(木曽)義仲と巴御前」らにもスポットを当て、展覧会を盛り上げます。

なお、本展の作品説明及び展開は「平家物語」「義経記」「吾妻鏡」などをもとに構成しております。

*浅井コレクションについて

明治30年代から古書店を営んでいた浅井勇助が収集を続けた3万点を超える一大コレクションで、その内容は多岐にわたる浮世絵、錦絵ですが、特に幕末から明治にかけての収集は極めて充実しており、他に類を見ません。

外圧によって鎖国を解かれ内戦状態に陥った日本の転換期に、江戸幕府はその基盤が弱体していく中、民衆の歴史情報収集、政治批判を禁止していました。その禁を犯し捕縛の危険をも顧みずに、絵という視覚的な方法により民衆に歴史を伝えたのが歌川国芳、月岡芳年らが遺した幕末、明治期の浮世絵、錦絵だったのです。美術的な価値はもとより、歴史、文化の伝搬を担った浮世絵、錦絵という蒐集観点からしても非常に重要なコレクションです。

その一部は「近世錦絵世相史 全8巻」(平凡社)「錦絵幕末明治の歴史 全12巻」(講談社)「錦絵日本の歴史 全4巻」(日本放送出版協会)などにまとめられています。