棟方志功展

世界に名をはせる板画家「棟方志功」。棟方は板画のほかにも肉筆画を数多く描いています。肉筆画は自由奔放な筆使いがたいへん興味深く、棟方の別な側面が見て取れます。
京都伏見稲荷神社、東本願寺などに描かれた作品が知られていますが、その大半が個人住宅の内部に描かれたため、ほとんど一般に公開されることはありません。 本展作品もごく一部が「現代日本の美術12 棟方志功」に紹介されたことがありますが、その全容が公開されることはありませんでした。今回個人的な親交から棟方にこれらの作品を自宅に描かせた山口家から、パラミタミュージアムに移されたことから公開が可能となったものです。
いずれの作品も大作揃いで、棟方のあふれ出るエネルギーが感じられる展覧会です。

作品内容

1. 油彩画

「わだばゴッホになる」といったように、棟方の芸術家としての出発点に影響を与えたのはゴッホの油彩画でした。棟方は自ら「猛烈きわまる血騒を油絵具に受けます」と語っているようにその作品にはたいへん強いエネルギーが溢れています。

2. 襖 絵

万葉集の歌と共に仏や花、鳥などを描きいれています。

3. 板戸絵

いろはうたや、経文とともにダイナミックな筆致で天女などが描かれています。

4. 板 画

今回の板画作品の中には棟方の代表作「釈迦十大弟子」が含まれています。この作品群では仏に近づこうとする10人の人間の左右を菩薩が守護するという姿が描かれています。しかしながらこの二菩薩の版木が戦火で消失したために、棟方はこの二菩薩の版木を後に彫りなおしています。
本展ではたいへん貴重な最初の版木によって刷られた二菩薩と改刻後の作品を合わせて比較展示いたします。
本作はサンパウロ・ビエンナーレ版画部門最高賞、ヴェネチア・ビエンナーレ国際版画大賞を受賞していますが、このほかにも国際的な受賞暦を持つ作品を展示いたします。

5. そのほか掛軸、屏風、衝立など